どうも、元公務員のさたぼです!
長女(公務員)
公務員から転職する人ってあまり多くないイメージがありますよね。
そんな中で、一人で辞めようと決意することはとても勇気がいることだと思います。
でも、人員は減り続け、仕事は増え続ける中で、本当に公務員から転職したい人は少ないのでしょうか?
この記事では、
〇公務員から転職したい人ってどのくらいいるの?
〇20代、30代、40代の公務員を辞めたい人たちはどんな理由で辞めたいと思っているの?
〇公務員になりたい人たちってどのくらいいるの。若い人たちにとって、今も魅力的な仕事なの?
といった疑問の答えを、総務省や厚生労働省が2021年9月時点で公表している最新のデータを元に回答した記事になります。
今回調査した結果から、公務員の離職率は民間に比べれば少ないけど、毎年徐々に増えていることが分かりました。
また、とても驚いたのですが、ここ10年で公務員になりたい人は激減していることも判明しました。
次女
目次
毎年増え続けている!?総務省のデータで分かる地方公務員の離職率!
公務員から転職したい人って私以外にいるのかな。
周りに聞くわけにもいかないし……。
長女
結論から言えば、公務員の離職率は民間に比べかなり低いです。
でも、近年の傾向を見ると、離職する人は徐々に増え続けています。
詳細を見るために、地方公務員の平成26年度~令和元年度までの退職者数について、過去6年分のデータをまとめてみました!
データは総務省サイトの「地方公務員の退職状況等調査」を参考にしております。
なお、ここでいう中途退職者とは
「定年退職、勧奨退職、早期退職制度による退職、分限免職(退職金有りのクビ)、懲戒免職(退職金無しのクビ)、失職、死亡退職、他団体への出向による退職等を除いた退職。」
を指します。
さたぼ
いわゆる自己都合退職の事と思ってもらえればと思います。
それでは早速、退職者の数を見ていきましょう。
表1:過去6年間の地方公務員の全退職者数及び中途退職者数とその割合
退職者の多くは定年退職のイメージがありますが、近年だと退職者の3~4人に1人は中途退職者です。
令和元年度の全退職者の内、定年退職者数は70,207人で中途退職者数は37,029人。
つまり、定年退職者の半分強の地方公務員が、中途で退職している計算になります。
それって多いの?私の周りで退職する人ってほとんどいないよ?
長女(公務員)
それでは、具体的に令和元年度の地方公務員の離職率と、民間企業の離職率を見てみましょう。
結果は以下の表のとおりでした。
総職員、 社員数 |
自己都合での 離職者数 |
離職率 | |
地方公務員 | 2,740,653人 | 37,029人 | 1.35% |
民間の 一般社員 |
36,473,000人 | 4,171,000人 | 7.96% |
表1:令和元年度の地方公務員及び民間企業での離職率
(出典:総務省サイト令和2年地方公共団体定員管理調査結果の概要及び厚生労働省サイト 雇用動向調査結果の概要より)
地方公務員の離職率は民間の約6分の1になっています。
次女
長女(公務員)
さたぼ
次のデータは過去6年間の公務員、民間の離職率を上記資料を基にグラフにしたものです。
グラフ1:年度ごとの地方公務員の離職率の推移
グラフ2:年度ごとの民間従業員の離職率の推移
民間企業では年度ごとで規則性はありませんが、公務員は明確に離職者が増える傾向にあります。
長女(公務員)
さたぼ
20代、30代、40代が公務員を辞めたい3つの理由とは?
長女(公務員)
こちらについては、地方公務員の資料はありませんでしたので、国家公務員についての国の調査データを使用したいと思います。
この結果は、公務員の皆さんなら納得の内容だと思います。
参考にしたのは、以下の資料です。
(出典:内閣官房サイト内 第18回 女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会 (令和2年6月19日)内で使用された、 国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進に関する職員アンケート結果 より)
国家公務員に勤務を継続するかアンケートした結果について紹介します。
下の表2は、アンケートで「すでに辞める準備中」、「1年以内に辞めたい」、「3年程度の内に辞めたい」と回答した国家公務員の割合になります。
なんとなく辞めたい、という方ではなく、具体的に辞めようと考えている方の割合ですね。
表3:年代別の数年以内の辞職意向のある人の割合
さて、数年以内に辞職したいと考えている公務員の方々が、いったいどんな理由で辞めたいと回答したかを見ていきましょう。
こちらは複数回答ありのため、そのまま足すと100%超えますのでご注意ください。
表4:年代別 公務員を辞めたい理由ベスト3は?
以下の3つが公務員を主な辞めたい理由です。
①長時間労働等で仕事と家庭の両立が難しい
②もっと自己成長できる魅力的な仕事につきたい。
③今後キャリアアップできる展望がない。
「公務員の仕事は忙しい!」、「自分や家族のための時間をとることができない!」と考えている人がたくさんいるようです。
特に女性の場合は、仕事と家庭の両立にかなり苦心している様子が見て取れますね。
長女(公務員)
さたぼ
また、若い世代は成長を求めて転職するイメージがありますが、30代や40代でも多くの方が成長やキャリアアップを求めた転職をしたいと考えているようです。
特に、40代男性の1位が「もっと自己成長できる魅力的な仕事につきたい!」であることに驚きました。
「魅力的な仕事に就きたい」という思いが、「時間が欲しい」という思いを逆転しています。
子どもが大きくなってくる年だということも理由の一つだと思いますが、公務員を続けていても、魅力的な仕事に就きたいという思いが消えないことも表していると思います。
さたぼ
就職したい人たちにとって、公務員という職業は今も魅力的なの?
結論から言えば、公務員試験の受験者数は驚くべき速度で減り続けています。
下の表は、総務省サイトにて公開されている過去5年間の地方公共団体(都道府県、市区町村)の公務員試験の受験者数及び合格者数の推移です。
総務省サイト:「地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果」の「令和元年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査」の資料を引用
合格者数は毎年大きく変わっていないのに、公務員試験の受験者数は男女ともに減少し続けています。
それでは、より分かりやすくするため、受験者数、合格者数、競争率をグラフにした資料を見てみましょう。
総務省サイト:「地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果」の「令和元年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査」の資料を引用
合格枠は平成22年度に比べればかなり増えているにも関わらず、受験者数は激減しています。
平成22年度と令和元年度を比較すると、以下の表のとおりです。
平成22年度 | 令和元年度 | 増減率 | |
受験者数 | 614,022人 | 440,126人 | 70% |
合格者数 | 66,426人 | 78,049人 | 120% |
競争率 | 9.2倍 | 5.6倍 | 60% |
長女
平成22年度は9人受けて1人受かるレベルの試験だったのに、令和元年度には6人に1人が受かるレベルにまで難易度が下がっています。
公務員試験の受験者数は毎年どんどん減り続けていることが分かりました。
では、いったい減った人たちは、どこにいってしまったのでしょうか?
公務員を受検していた人たちはどこへ消えた?
平成22年に61万人いた受験者数が、令和元年度に44万人にまで減っていました。
約30%の減少です。
どうして地方公務員の受験者数は減ったのでしょうか?
彼らはどこへ消えたのでしょうか?
調査してみました。
①少子高齢化で人口が減っている?
次女
平成22年と令和元年の10月1日時点の15歳~29歳(公務員試験の主な対象)の人口を見てみましょう。
平成22年 | 令和元年 | |
男性 | 1021万人 | 950万人 |
女性 | 980万人 | 895万人 |
合計 | 2001万人 | 1845万人 |
表5:平成22年及び令和元年の15歳~29歳の男女別人口について
e-Stat(政府統計の総合窓口)の2009年及び2019年の人口推計より
さたぼ
人口は確かに92%ほどに減っていますが、それほど大きくはないですね。
公務員ではなく民間企業への就職に流れている?
民間企業の求人が、求職者数より多ければ、民間企業への就職に流れているものと思われます。
そのため、厚生労働省の資料から、民間企業の求人状況を調べてみました。
厚生労働省サイト「一般職業紹介状況(令和3年7月分)について」より
平成22年度から令和元年度はほとんど毎年、求人が増え続けています。
以上の結果より、民間の求人が多いほど、公務員試験の受験者数は減っていっているのだと思います。
つまり、公務員試験の受験者数が増える、増えないは民間の求人の多さや景気に左右されるということが見て取れると思います。
公務員は安定だけでは人を集めるのが難しくなっている?
マクロの視点でみれば、公務員試験の受験者数が減っているのは、民間の求人が増え続けていたからだと考えられます。
しかし、それだけでは説明がつかないことがあります。
民間の有効求人倍率は平成29年度まで増え続けておりますが平成29年~令和元年度の間で大きな違いはありません。
ですが、公務員試験の受験者数は、むしろ平成29年度~令和元年度で減少スピードが加速しています。
過去受検者数 | 受検者数 | 減少率 | |
平成26⇒28年度 | 552,760人 | 520,400人 | 6% |
平成29⇒令和元年度 | 498,259人 | 440,126人 | 12% |
26年度からの3年間に比べて、29年度からの3年間の受験者数の減少は2倍になっています。
このことから、民間の求人倍率や、人口減少以上に、公務員になりたいという人が減ってきていることが分かります。
私が公務員として働いた10年の間も、仕事が以下のように変化しているように感じました。
〇法改正により仕組みがどんどん上乗せされていき、複雑さが増している。
〇市民からの問い合わせに対する説明も年々難しくなっている
〇一度始めた事業は簡単に辞められないのに、新しい事業がどんどん増えていく
仕組みが複雑になれ、仕事が難しくなっているのに、昔と変わらず3年程度で異動。
このような環境下では、時間はなくなるばかりだし、技術も身に着きません。
そういった不満は、公務員の辞めたい理由に繋がるだけでなく、SNSなどで外にあふれ出し、公務員という仕事が若い人たちにとって、どんどん魅力的でなくなってしまっているのだと思います。
さたぼ
実際に転職活動を始めている公務員はいったいどれくらいいるの?
長女
人材大手エン・ジャパンの運営する転職サイトの国家公務員と地方公務員の登録者数が2019年10~12月期で1万2379人いました。
これは、前年同期に比べて22%増加していて、サービス開始以降で登録者数が過去最多になったようです。
(出典:ダイヤモンド・オンライン 公務員の転職サイト登録数が過去最高、「ヒマで安定」が激変の悲哀)
この記事にもある通り、公務員の「ヒマで安定」のイメージは、事実とは違うということが認知されてきています。
公務員は定時上がりが当たり前だった時代なんて今は昔。
私がいた公務員の環境は、人員は削減され続けているのに仕事の効率化やIT化が進まず、法改正でやることは毎年増えていくのに、一度増やした仕事はなかなか減らせない。
人員は減っていくのに仕事は増え続けていました。
さたぼ
まとめ!データで分かった!公務員試験の受験者数は毎年減り続けている
それでは今回の記事のまとめです。
〇公務員の離職者は民間にくらべてとても少ない!だけど少しづつ増え続けています!
〇公務員を辞めようと考えている人の、辞めたいと思う主な理由は以下の3つ!
ー①長時間労働等で仕事と家庭の両立が難しい
ー②もっと自己成長できる魅力的な仕事につきたい。
ー③今後キャリアアップできる展望がない。
〇地方公務員の受験者数は急速に減り続けている!
若い人たちは、昔ほど公務員を魅力的だと思っていない。
さて、今回のデータを見てみてどう思ったでしょうか。
私は公務員試験の受験者数が減り続けていることにかなりの衝撃を受けました。
10年前、難関である公務員試験をなんとかくぐり抜けて公務員になりましたが、現在は過去に比べハードルが下がり続けています。
「せっかく大変な公務員試験を突破して公務員になれたのにもったいない!」
なんて言われるほどの価値は、これからさらになくなっていくかもしれません。
公務員の現実を知らない若者達でも、公務員になることは魅力的でないと知り始めています。
公務員をもったいないという人たちは、遠い過去の知識を元にしゃべっているにすぎません。
公務員として働いているあなたは、誰よりも現実を知っています。
周りの「もったいない」に惑わされず、あなたがどうしたいのかを考え、あなたのために、転職と向き合ってくださいね。
さたぼ
ここまでお付き合いくださりありがとうございました!
長女
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